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錬金術師の隠れ家

書評など。キーワード:現象学、記号論、漫画、技術哲学 https://twitter.com/phanomenologist

ストロベリーパニック 総括

アニメ「ストロベリーパニック」全話をみた。百合アニメ界でもマリみてのスール的世界観に直接的な性描写を導入して表現をより幅広くすることに一役買ったと思われるが、同時に変な笑いの出るアニメで、突っ込みどころや惜しいところがあまりにも多すぎるので、総括する必要を感じた。なおラスト3話より前は数ヶ月前にみたので記憶が曖昧であまり多くは語れない。ただラスト3話があまりにもアレなので、それだけでも十分な気もする。
 
はじめに
・原作は読者を「兄」として語りかける文体になっていることからも、男性読者を想定していることは明白。
・別に男性視聴者のサービスとしてのレズセックスを描いた作品ではないと感じた。
 ・シーンは三種類。要と桃実(なんども出てくる。軽薄にみえるが、実は要の本心は別の女に向いていたこととのコントラスト)、静馬と花織(想い出)、天音と光莉。どれも意味がある。
 
よいとこ
・演劇。主役を巡る政治的駆け引き、千華留様を主役にもってくることのうまさ。なんだかんだ渚砂が途中代役になるが、(ニセコイのそれと比べれば)嫌な感じはしなかった。
・要の本心。なぜか光莉を狙ったり意味不明な口説き文句を放ったり演劇に茶々いれたりと奇行が目立ったが、23話でかなり納得がいった。口下手な二人が本心をぶつけ合うためのテニスコートという舞台。ライバルとの戦いをきっかけにエトワール選出馬を決めたというのもまた熱く、桃実のレズビンタもまた切ない。それだけに直後なんでああなってしまったのかが本当に悔やまれる。
・音楽が美しい。
・一期EDは伝説。
 
なにがよくないのか
・まず作画が全体的によくない。世界観の美しさを売りとする百合モノにとっては致命的なんじゃ。作画監督複数の回多すぎ。
・飛躍が多い。
・SEがださい。
・序盤で静馬が行事に参加してないの本当謎だったな…なにか訳ありなんだろうなと思ったら本当になにもなかったとか、静馬様の魅力ガタ落ちじゃ(静馬様の印象が悪くなるのはこれだけにとどまらない)
・静馬と花織の顛末がなあ…病人ととも選挙に出るのは流石に色事を政治に持ち込んでいるとしかいいようがなく評価できん。
・ラスト3話。記憶喪失はもう殆ど禁じ手でしょう。これを2話連続で引っ張るのも辛い。
 ・厩に泊まるのはいいけど、せめて連絡して差し上げろと…みんな心配してるというのに
・最終話。いきなり式場に乗り込んできて渚砂ちゃんを連れて逃げ出す。静馬様の暴走としか…いや、渚砂ちゃん本当にこれでいいの?的な仕込みはちゃんとあったけれど、もう1クッション欲しかった。
 ・玉青ちゃん可哀想とはよくいわれる。確かに別に悪い子じゃないし、「結婚式の最中に別の男に花嫁を奪われる当て馬」の役割はあまりにも不憫かな。
 
その他
・エトワール制が意味不明。色事を政治に持ち込むのに非常に違和感があるのだがそんなものなのだろうか。要はレズカップルが選ばれるのか…そういえば作中のエトワールになった先代と新しいカップル、どっちも直前にレズセックスしてたな…
 
結論
・「どのカップルがエトワールになるか」「誰が劇の主役になるか」を巡って行われる政治的駆け引きがなんだかんだで魅力的だった。
 ・それが、最終話で学校の伝統が…とか仕来りが…とかいってられなくなるほどぶっ飛んだことになってしまった。
・考えてみたらこの作品を一番引っ掻き回したの、要と桃実じゃなくて静馬様だったんじゃ…
 ・ピアノもフランス語もできて、一緒に踊るとすごく美しい。情の出しどころを間違えたんだ…
・スール的世界観にセックスを再定着させるという点においてはなんだかんだで意義はある。エロいけど別に欲望を掻き立てるというよりは精神的つながりを示すまたは離れていることを示すものとして表現されている。同時期に少女セクトも刊行されたことも興味深い。
・余談だが、いちご舎の三角形状がユリ熊嵐の校舎の形状と似ていることに関心がある。