錬金術師の隠れ家

書評など。キーワード:フランス科学認識論、百合、鬼頭明里 https://twitter.com/phanomenologist

2018-01-01から1年間の記事一覧

なぜ新条アカネは男子大学生たちにブチ切れたのかーーアニメキャラクターの「性」の尊重を目指す

本稿では、2018年10月から放送中のテレビアニメ『SSSS.GRIDMAN』における敵ヒロイン新条アカネの行動の動機と、それに対する集合体としての視聴者の反応の間にある違和感について探ってみたい。 SSSS.GRIDMAN 第1巻 [Blu-ray] 出版社/メーカー: ポニーキャニ…

なぜ『やがて君になる』は「百合漫画」に分類されるのか? その証明と意義の考察

本論で一番主張したいのは第3節「「百合」から「演繹」する」のところです。時間がなければそこだけ読むことをお勧めします。 今から仲谷鳰の漫画『やがて君になる』が、なぜ「百合漫画」に分類されるのかについて考えてみたい。 やがて君になる(1) (電撃コ…

映画感想:劇場版ポケットモンスター キミにきめた!(2017)

劇場版『ポケットモンスター キミにきめた!』は、それまでの劇場版ポケットモンスターシリーズのイメージを一新しようとする試みであった。内容としては、ポケットモンスターの第1話をリメイクし、サトシとホウオウとの出会いを描くというもので、現行のファ…

傘木希美という「作品」ー『リズと青い鳥』を巡って(みぞれとは別の視点から考察する)

危機の存在するところ、救いもまた育つ。(ヘルダーリン) 「物語はハッピーエンドがいいよ」とは、映画『リズと青い鳥』のなかで希美が言った言葉であるが、これは呪いの言葉である。それというのも、物語を楽しむ者は、実際に語られる出来事を無理にでもハッ…

鎧塚みぞれという「狂気」-『リズと青い鳥』を巡って(前編)

本稿ではアニメ『響け!ユーフォニアム2』(2016)と『リズと青い鳥』(2018)を題材にして、鎧塚みぞれというキャラクターの性質、ならびにそれが作品において表す機能を考察する。特定人物に対し素朴で重い感情を向けるみぞれの心のあり方が、経験則や作者の意…

映画感想:『映画プリキュア スーパースターズ!』 ※政治的批評につき注意

今永田町が荒れている。「嘘」という名の暴風雨でボロボロである。公文書の改竄が明らかになったというのもそうだが、その責任を一切認めず、昨日言ったことと全く違う答弁を連発するホラ吹き政治家の醜悪さは子どもでも分かる。嘘をついても許されるなんて…